はじめに
サラリーマン投資家の選択肢として民泊という方法があります
王道の不動産投資といえば
・ワンルームマンション投資
・一棟アパート投資
・戸建て賃貸
といった選択肢が主流ですが
戸建てと民泊に挑戦する人が増えてきていることも事実です
背景にあるのは
・ワンルーム投資の利回り低下
・融資の引き締め
・金利上昇によるキャッシュフロー悪化
といった取り巻く環境の変化です
一方で、一口にに民泊と言っても
「観光地民泊と都市型民泊、どちらを選ぶべきなのか?」
といった素朴な疑問があるのではないでしょうか

本記事では、観光地民泊と都市型民泊の収益性・リスク・向き不向きの違いについて解説していきます
第1章:なぜ今「民泊×サラリーマン投資」なのか?
ここ数年で、サラリーマン向けの不動産投資環境は大きく変わりました
特に影響が大きいのが
・金融機関の融資姿勢の厳格化
・金利上昇
・建築費・物価の上昇
この3点です
これにより、これまで成立していた
・フルローン
・高レバレッジ
・薄利でも件数で増やす
といった戦略が、非常に取りにくくなりました
特にワンルームマンション投資は
・利回りが5%台前半
・管理費、修繕積立金の上昇
・空室リスク
・金利上昇
これらが重なり
「買ってもお金がほとんど残らない」ケースが珍しくなくなっています
その一方で、ここで注目され始めたのが民泊です
民泊がサラリーマン投資家に注目される理由は、主に次の3つです
利由①:利回りの上振れ余地が大きい
賃貸は
「家賃 × 部屋数」で収益がほぼ固定されます
一方、民泊は
・稼働率
・宿泊単価
・繁忙期の価格調整
によって、収益が大きく上振れする余地があります
うまく回った時の破壊力は、
通常の賃貸とは比較になりません
理由②:戸建て・空き家を活用できる
民泊は
・中古戸建て
・相続した空き家
・立地が微妙な物件
こうした賃貸では弱い物件でも、収益化できる可能性があります
これはサラリーマン投資家にとって、
「物件選択の幅が一気に広がる」という意味でも大きなメリットです
理由③:運営ノウハウで差がつく「事業型投資」
ワンルーム投資は
・買う
・貸す
・終わり
という性質が強く
個人の工夫で収益が大きく変わる余地はあまりありません
しかし民泊は
・内装
・写真
・価格調整
・清掃
・レビュー管理
といった「運営力そのものが収益に直結する投資」です
裏を返せば
「うまくやる人は、同じ物件でも何倍も稼ぐ」
という世界でもあります
ただし、ここで必ず理解しておくべき重要なポイントがあります
それは
民泊は、エリア選びを間違えてしまうと、赤字化する投資だということです

どんな物件かよりも「どこでやるか」が、収益のほぼすべてを決める投資です
これが民泊投資の最大の特徴であり、最大のリスクでもあります
第2章:観光地民泊と都市型民泊の決定的な違いとは?
民泊と一言で言っても、実は大きく2つに分かれます
・観光地民泊
・都市型民泊
この2つは、
同じ「民泊」でも、投資の性格がまったく異なります
まずは、それぞれの特徴を整理していきましょう
観光地民泊の特徴
観光地民泊の最大の特徴は
「売上が繁忙期に極端に集中する」ことです
・ゴールデンウィーク
・夏休み
・年末年始
・インバウンドシーズン
この時期は
・稼働率90%超
・宿泊単価も1.5倍〜2倍
といった状態になることも珍しくありません
一方で、閑散期になると
・月の予約が数件だけ
・売上がほぼゼロ
という状況にも簡単に陥ります
つまり観光地民泊は
跳ねる月はとことん跳ねるが、止まる月は完全に止まる
という
非常に収益の振れ幅が大きい投資です
さらに、
・インバウンドの動向
・天候
・災害
・社会情勢
といった、自分ではコントロールできない外部要因の影響を強く受けます
都市型民泊の特徴
これに対して、都市型民泊は性格がまったく異なります
都市型民泊の需要の中心は
・出張
・長期研修
・家族の入院付き添い
・単身赴任前後の仮住まい
といった
「観光ではない実需」です
そのため
・繁忙期と閑散期の差が小さい
・年間を通して稼働が安定しやすい
という、非常に大きな特徴があります
一方で、
・宿泊単価は観光地ほど高くならない
・法規制が厳しい
・用途地域や消防法の確認が必須
・近隣クレームのリスクが高い
といった、管理面・法務面のハードルは高めになります
ここまでの違いを見るだけでも、
・観光地民泊は「高収益だが不安定」
・都市型民泊は「安定するが爆発力は小さい」
という構図が、すでにかなり明確になってきたのではないでしょうか

どちらの民泊が向いているかは、投資家のタイプによってほぼ決まってしまう
ということも見えてきます
第3章:収益性はどれくらい違う?
ここからは、結局どれくらい儲かるのか?
という最も気になる部分を、できるだけ現実的な数字で比較していきます
あくまで一例ですが、実務でよく見かける水準をベースにしています
観光地民泊の収益モデル(例)
・物件:地方観光地の戸建て
・取得+改装費:2,000万円
・自己資金:400万円
・年間モデル収支イメージ
- 繁忙期(年間4か月)
月商:80万円
→ 4か月合計:320万円 - 閑散期(年間8か月)
月商:5万円
→ 8か月合計:40万円
年間売上合計:約360万円
年間表面利回り:約18%
実質利回り:12〜20%前後
一見するとかなり高利回りに見えますが、
実際にはここから
・清掃費
・消耗品
・修繕費
・管理委託費
・広告費
などが差し引かれます
都市型民泊の収益モデル(例)
・物件:都市部の戸建て
・取得+改装費:2,500万円
・自己資金:500万円
・年間モデル収支イメージ
- 月商:25〜40万円で安定
- 年間売上:300〜480万円
年間表面利回り:約10〜12%
実質利回り:8〜12%前後
観光地ほどの爆発力はありませんが、
毎月の売上が大きくブレないのが最大の特徴です
次に、サラリーマン投資家が特に重視すべき指標が3つについて整理しておきましょう
指標① 実質キャッシュフロー(CF)
・観光地型
→ 繁忙期は月30万〜40万残るが、
閑散期は赤字月も普通に発生
・都市型
→ 毎月5万〜15万程度が安定して残る
お金の「増え方」よりも、「止まらなさ」が重要なのがサラリーマン投資です
指標② 稼働率による上下の振れ幅
・観光地:
稼働率10%〜95%まで大きく変動
・都市部:
稼働率60%〜85%程度で安定
精神的ストレスの大きさも、この差は非常に大きいでしょう
指標③ 自己資金回収年数
・観光地型
うまくいくケースでは3〜5年
失速してしまうケースでは10年以上
・都市型
標準的なケースでは7〜10年が多い
数字で整理すると、傾向が概ね見えてきて
観光地民泊=爆発力のある「高リターンで高い振れ幅型」
都市型民泊=安定重視の「中リターン・安定振れ幅型」
といえるでしょう、この差は大きい差になります
第4章:実際に私が選んだのはどちらか?
私自身が実際にどちらを選んだかについて触れておきます
私が最初に選んだのは、観光地型民泊でした
観光地民泊を選んだ理由は「数字」よりも「期待値」でした
具体的な理由は次の3つです
理由その① 国の観光政策とインバウンドの追い風
当時は、
・インバウンド拡大
・地方観光活性化
・訪日客数の右肩上がり
という流れが強く
「今から入るなら観光地だろう」と判断しました
理由その② すでに持っていた賃貸物件との地理的分散
私はすでに都市部に賃貸物件を持っていたため
・別エリア
・別収益モデル
としての分散効果を狙いました
理由その③ 純粋に「観光地そのもの」に魅力を感じた
これは投資としては邪道かもしれませんが
・その土地が好き
・今後も伸びそう
・応援したい地域
という気持ちも、意思決定に大きく影響しました
実際の結果(初年度)
私の場合は新築の戸建で民泊に挑戦してみましたが
初年度のおよその実績は
・平均稼働率:月5組前後
・想定キャッシュフロー:18万円/月
・実際のキャッシュフロー:4万円/月
といった感じで、正直に言えば

「想定の4分の1程度」がリアルな結果でした
想定通りだった点
あらかじめ想定していた点としては
・繁忙期は本当に満室になる
・連休の売上は想像以上
・年間トータルでは一応プラス
という感じでした

満室になったり、繁忙期の売上のポテンシャルには満足感が高く、トータルではプラスなので、メンタル上も経営上も運営して続けることは可能でした
想定外だった点
想定外だった点は
・閑散期が想像以上に厳しい
・翌年からコロナ禍で壊滅
・想定していた「平均18万キャッシュフロー」までは至らなかった
結果として、
・繁忙期は猛烈に儲かる
・閑散期と外部要因で一気に落ちる
という感じで

観光地民泊の「教科書通りのジェットコースター」をそのまま体験することになりました
第5章:失敗例とハマってしまいがちな罠
ここまでの体験と、周囲の事例を通じて見えてきた
民泊で本当によくある失敗例を整理します
観光地民泊の失敗例
失敗例その① 思った以上に閑散期が長い
オフシーズンは2〜3か月くらいと思っていたら、
実際は半年近くほぼ動かないというケースは珍しくありません
売上ゼロでも、
・ローン
・固定資産税
・光熱費
・通信費
は、容赦なく毎月降りかかってきます
失敗例その② 清掃業者・管理業者が捕まらない
地方では
・清掃業者が少ない
・繁忙期だけ対応してくれない
・急なキャンセル対応ができない
といった問題が発生する事があります
「物件はあるが、回せない」という地獄のケースも珍しくありません
都市型民泊の失敗例
失敗例その① 近隣トラブルで強制撤退
都市ならではのトラブルは、住居トラブルとも共通して
・騒音
・ゴミ出し
・出入りの多さ
があり、これらが原因で
・管理組合から警告
・最悪の場合、運営停止
というケースも珍しくありません
失敗例その② 消防法・用途地域の見落とし
都市は、制度上も厳格に管理されているケースも多いため
・消防設備が必要だった
・用途地域的にそもそもNGだった
・保健所の対応が想定外だった
など、やってから気づく系のミスがあり
このケースに該当してしまうと、ほぼ確実に大損失につながります
共通の失敗パターン
最後に、観光地・都市型に共通する失敗パターンです
共通要因その① 収支シミュレーションが楽観的すぎる
次のようなシミュレーション
・稼働率80%前提
・単価は常に満室基準
・修繕費ゼロ
こうした都合のいい想定で組まれた収支は、ほぼ100%崩壊します
共通要因その② 運営を「副業感覚」で考えている
民泊は「購入しただけでお金が出る投資」ではありません
明確に「事業」といえる性質の投資です
副業感覚で始めると
・清掃が回らない
・レビューが荒れる
・稼働が落ちる
・赤字化
という負のループに一気に落ちいりがちです
第6章:成功している人が押さえている運営ノウハウ
ここまで読み進めてきた方は
すでにお気づきかもしれません
民泊は「物件選び」だけで勝負が決まらない投資です
運営力が収益力に直結する
と言っても過言ではありません
観光地・都市型どちらであっても、成功者が必ず徹底している共通施策を整理します
稼働率を安定させるための共通施策
施策その① 写真・内装・宿泊体験の質
民泊で最も重要なのは「写真の第一印象」です
・スマホ写真ではなく、プロ撮影
・昼と夜の両方を撮影
・広角・生活導線・雰囲気が伝わる構図
これだけで、
・クリック率
・予約率
・単価
といったところが変わってくるでしょう
さらに
・「泊まれる」ではなく
・「泊まりたい」と思わせる内装
ができている物件は、価格競争に巻き込まれにくくなります
施策その② 清掃・レビュー管理・価格調整
収益を左右する日常業務の核心部分としては
・清掃の質
・レビュー対応
・日々の価格調整
という3点があげられます
特にレビューは
- 1つ低評価がつくだけで稼働が一気に落ちる
- 低評価が続くと民泊募集サイトの掲載停止のペナルティがある
という恐ろしさがあります
逆に言えば
・レビュー4.8以上を維持できる
・悪い評価に即レス
・改善を反映

これができるだけで、同じ物件でも売上が2割〜3割変わる世界です
ワンルーム投資との最大の違い
ここまで理解がすすむと
ワンルーム投資との決定的な違いがはっきりします
ワンルームは
・立地
・築年数
・管理
でほぼ収益が固定されます
一方、民泊は
・写真
・運営
・レビュー
・価格調整
という「人の手による介入」で収益が変動します
つまり民泊は完全な「事業型投資」と言えるでしょう
戸建て民泊ならではの強み
戸建て民泊には
ワンルームにも、都市型マンション民泊にもない強みがあります
強み その① グループ需要・家族需要
民泊の需要としては
・4人から8人
・2世帯
・友人同士
といった多種多様な需要があります
こうした需要は
・1泊あたりの単価
・滞在日数
の両方を押し上げます
強み その② 長期滞在ニーズ
民泊を利用する主な動機としては
・インバウンド
・帰省
・工事関係
・研修
があげられますが、いずれも長期滞在となりやすいニーズです
戸建ての物件の特徴として
・洗濯
・料理
・収納
といった生活機能が揃っているため
1週間〜1か月単位の予約が入りやすいという特徴もあります
これは、閑散期の底上げに極めて強力です
第7章:ワンルーム×民泊の「物件多様化戦略」という考え方
民泊単体で考えると、どうしても
・怖そう
・難しそう
・売上の振れ幅が大きそう
と感じてしまう方も多いと思います
そこで、ワンルームマンションの投資との組み合わせで
リスクを下げる戦略が考えられます
ワンルームマンション投資による一本足の危険性
ワンルームマンション投資は
・安定
・再現性が高い
・管理が楽
というメリットがありますが、弱点もあり
・利回りが低い
・金利上昇に弱い
・家賃上昇がほぼ期待できない
・出口の値上がり益も限定的
つまり、「守りに強いが、攻めが弱い投資」という特徴が有ります
民泊を組み合わせることで起きる変化
ここに民泊を組み合わせると、次の変化が起こります
変化 その① キャッシュフローの補完
・通常収入:ワンルーム
・上振れ収入:民泊
この構成にすることで、
・ローン返済
・生活防衛
・再投資
すべてが一段安定します
変化 その② エリア分散
・ワンルーム:都市部
・民泊:地方 or 観光地
という構成は、
・自然災害
・景気後退
・人口動態
などのリスク分散にも非常に有効です
変化 その③ 出口戦略の多様化
民泊物件は
・再び賃貸に戻す
・売却
・簡易宿所化
・法人売却
など、出口の選択肢が多いのも強みです
サラリーマン投資家にとって現実的な組み方
最も再現性が高く、失敗しにくい王道パターンは次の流れです
- ワンルームで基礎を作る
- 都市型民泊で事業性を学ぶ
- 戸建て民泊で収益の上振れを狙う
この順番を守るだけで
いきなり観光地フルベットするより、失敗確率は大幅に下がります
第8章:結局どちらがサラリーマン向きなのか?タイプ別結論
最後に、ここまでの内容をすべて踏まえた
「タイプ別の結論」を整理します
観光地民泊が向いている人
・すでに安定収入がある
・多少の赤字でも耐えられる
・数字の浮き沈みに動揺しない
・運営を事業として楽しめる
・中長期視点で構えられる
こうした人にとって
観光地民泊は 「資産もキャッシュフローも一気に伸ばせる可能性がある武器」 になります
都市型民泊が向いている人
・毎月の安定キャッシュフローを重視
・ローン返済を確実に回したい
・精神的ストレスを減らしたい
・本業が忙しい
このタイプの方には
都市型民泊の方が相性が良いといえるでしょう
向いていない人の共通点
・資金に余裕がない
・赤字に極端に弱い
・運営に時間を割けない
・「買ったら終わり」と思っている
この条件に当てはまる場合
民泊そのものが不向きな可能性があります
向き不向きの結論
民泊は儲かるかどうかで選ぶ投資ではありません
「自分の性格とリスク耐性に合うかどうか」で選ぶ投資といえます
向いていないタイプが観光地民泊を選べば
・高収益のはずが
・そのまま破綻リスクになる
という最悪の結果になります
自分にあった戦略が大事ということです

結論、どの戦略をとっても、サラリーマンでも十分に現実的な資産形成の武器になりえるといえます
まとめ
観光地民泊は高収益を狙える一方で、収益の波が大きく不安定です
都市型民泊は爆発力こそ小さいものの、毎月のキャッシュフローは安定しやすい傾向があります
サラリーマン投資家にとって最も重要なのは、
「毎月の返済を止めずに回せるかどうか」という一点に尽きます
民泊は、「物件力 × エリア × 運営ノウハウ」の掛け算ですべてが決まる投資です

「儲かるかどうか」ではなく、 「自分の生活を壊さずに続けられるかどうか」
ここを間違えなければ、民泊は強力な選択肢になります

