はじめに
民泊については
民泊はもう儲からない
規制が厳しすぎて素人には無理
といった評判をよく耳にするようになってきていると思います
民泊が始まった当初のように誰でも簡単に始めて高収益
という時代は終わっているといえるでしょう
実際、何も知らずに飛び込んで撤退したケースもあります
しかしその一方で、今でも民泊で安定して利益を出し続けているサラリーマン投資家がいる
というのも事実です
特別な資金力や不動産のプロでもなく、ごく普通に会社員として働きながら、合法で運営しています
この差を生んでいるもの
「規制を正しく理解しているかどうか」
「民泊を投資ではなく事業として捉えているかどうか」
の違いです

本記事では、2025年時点の民泊規制の整理と、合法で運営するルート、経験談を考慮したノウハウ、組み合わせ戦略について解説していきます
第1章:そもそも、なぜ民泊は「規制だらけ」になったのか?
今でこそ「民泊は規制が厳しい」というイメージが定着しています
少し前まではまったく逆でした
Airbnbの登場をきっかけに、誰でも簡単に自宅や空き家を貸せる時代が一気に広がり
いわゆる民泊ブームが起こったのです
ところが、その急拡大が次の問題を生みました
- 深夜の騒音やゴミ出しルール違反
- 見知らぬ外国人の出入りによる治安不安
- マンション管理規約違反
- 無許可営業による事故やトラブル
これらが一気に表面化し、近隣住民との深刻なトラブルが全国で多発しました
さらにここに、
- 既存ホテル・旅館業界
- 地域住民
- 民泊事業者
- 行政
という四者の利害衝突が重なります
ホテル業界から見れば「無許可営業による不公平競争」
住民から見れば「生活環境の悪化」
行政から見れば「実態が把握できない危険な市場」
だったわけです
その結果として生まれたのが、いわゆる「民泊新法(住宅宿泊事業法)」です
多くの人が「民泊は規制で締め出された」と感じていますが、本質は少し違います
これは締め出しではなく、無秩序だった民泊をルールの中に入れた法整備ということです

「違法で好き勝手にやる時代」から「ルールを守れる人だけが残る時代」へ移行した、というのが正確な姿です
第2章:2025年時点の民泊規制について
2025年現在、日本で合法的に民泊を運営できる方法は、3つの制度があります
民泊に使える3つの制度
まず、基本の枠組みは次の3パターンです
1つ目が
住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)
最大の特徴は「年間180日まで」という営業日数制限です
自宅や賃貸、戸建てでも使えますが、収益は限定的になります
2つ目が
旅館業法(簡易宿所)
こちらはいわゆる本格民泊の位置づけです
営業日数の制限はなく、365日運営が可能ですが
消防設備や構造要件、用途地域などのハードルが一気に上がります
3つ目が
特区民泊
国家戦略特区でのみ認められている制度で
エリアはかなり限定的です
誰でもどこでも使える制度ではありません
サラリーマンが戸建て民泊で本気の収益を狙う場合の選択肢は「簡易宿所」といえます
逆に、収益よりも比較的低いハードルを優先する選択肢は「民泊新法」といえます
全国共通ルールと「自治体独自規制」
民泊で多くの人がつまずく最大の原因は、
「国の法律だけを見て、安心してしまうこと」です
実際には
- 国が決めたルール
- 都道府県の条例
- 市区町村の独自規制
この三重構造になっており、エリアごとに内容がまったく違います
たとえば
- ある市では「住居専用地域は全面禁止」
- 別の市では「平日のみ禁止」
- さらに別の市では「学校から〇m以内は不可」
など、同じ日本でもできる場所・できない場所が極端に違うケースがあるため
注意が必要です
戸建て民泊で特に詰まりやすい3つのポイント
実務レベルで、共通して直面しがちなポイントは次の3点です
① 用途地域
「このエリアでは、そもそも簡易宿所ができない」
というケースは珍しくありません
利回りが良くても、ここで即アウトになります
② 消防設備
自動火災報知設備、誘導灯、非常照明など必要な設備があります
建物の規模によっては、数十万円〜100万円超の追加工事が必要になることもあります
③ 近隣説明
法的にOKでも、住民感情は別問題です
ここを軽視して強行すると、クレーム・通報・最悪は営業停止に発展します
多くの失敗例は、「この3つを甘く見たこと」から始まっています
民泊は、買えたら「できる」ではありません
ルールをクリアしてはじめてスタートラインに立てます
第3章:サラリーマンが「合法」で戸建て民泊をやるための現実ルート
まず大前提として、ワンルームマンション投資と民泊は同じ不動産投資でも
ルールがまったく違うという点を理解しておく必要があります
ワンルームマンションは「貸して終わり」ですが
民泊は「運営して収益を作る事業」です
ここを履き違えてしまうと、どこかで運営に行き詰まってしまうことになります
サラリーマンが戸建て民泊を合法で成立させるには
次の3つのポイントを同時に整理する必要があります
ポイント①「融資」
民泊は金融機関から見ると、純粋な賃貸よりもリスクが高い事業に分類されます
従って
- 事業計画
- 想定稼働率
- 運営委託の有無
などを、最初から数字で説明できないと、融資の審査を通すことが難しいでしょう
ポイント②「物件」
安いから、利回りが高そうだから、という理由だけで買うと
失敗するケースがあります
民泊の場合
- エリアの需要
- 建物の間取り
- 駐車場の有無
これらが収益に直結します
ワンルームマンションよりも「使いやすさ」と「売上」のつながりが濃い投資です
ポイント③「用途地域」
いくら融資が通っても、いくら物件が良くても
用途地域で使用できなければ、そもそも運営することができません
この時点で、多くの投資を考えている方が諦めているケースが多いでしょう
サラリーマンが選ぶべきは「住宅宿泊事業」か「簡易宿所」か
本気で収益を作りにいくなら「簡易宿所」が選択肢と言えるでしょう
住宅宿泊事業いわゆる民泊新法(180日ルール)は、
- 副収入としては成立できる
- 事業としては弱い
という位置づけです
ローン返済を支えるほどのキャッシュフローを安定して生み出すのは、厳しいのが実情です
一方、簡易宿所は、
- 365日営業が可能
- 稼働率次第で賃貸の2〜3倍の売上も現実的
という特徴があります
一方で注意すべき点は
- 消防
- 行政
- 初期費用
といったところは、ハードルが高くなります
サラリーマンが民泊で「投資として意味のある数字」を作りにいくなら
最初から簡易宿所を前提で逆算するのが現実的といえるです
開業までのざっくり流れ
実際の大まかな流れは次の順番になります
- エリアと用途地域の確認
- 行政・保健所・消防への事前確認
- 融資の事前打診
- 物件の契約
- 行政・保健所・消防との協議
- 設備工事・内装
- 申請
- 許可取得
- オープン
ポイントは、「物件を買ってから考える」ではなく「買う前に行政と消防に確認する」ことです
この順番を間違えると、数百万円単位の手戻りが発生します
第4章:民泊立ち上げの流れ
民泊用の戸建てを探し始める時に、最初に確認すべきは「利回り」ではありません
確認が必要な項目は
- このエリアは本当に泊まり需要があるのか
- 観光目的か、ビジネス目的か
- 連泊需要が見込めるのか
といった需要の中身です
数字の前に、誰が、何のために泊まるのかが明確な物件を選ぶ必要があります
行政・消防・業者に相談する内容
物件の目星がついた段階で、次の3か所に必ず相談をする方がよいです
- 保健所(簡易宿所として可能か)
- 消防署(必要設備の確認)
- リフォーム業者(概算工事費)
この時点で「この物件はできる」「これは難しい」
という判断ができるでしょう
ワンルームマンション投資では
ここまで役所との打ち合わせが必要になることはほぼありません
ここが民泊の最初の大きな壁となるでしょう
ワンルームマンション投資と比べて最初に驚く「手間とお金」
ワンルームマンション投資と比べると
手間は2〜3倍、初期費用は想定より100万円以上膨らみます
- 消防設備
- 家具・家電
- リネン・備品
- 写真撮影
- 初期広告費
こういった費用は、利回り計算をするときに軽視されがちですが
すべて現金で一気に出ていきます
オープンまでにかかる期間と初期費用の目安
物件の状態によって変わりますが
- 物件契約からオープンまで約6か月
- 初期費用:物件価格とは別に約250万円
くらい必要なケースも珍しくありません
この数字を見て「思ったより高い」と感じるか、「事業としては妥当」と感じるかで
民泊に向いているかどうかが分かれます
第5章:失敗例と想定外
実際にありえる失敗例や想定外のケースについて整理していきましょう
選んだエリアの失敗
初心者が狙いがちなエリアとして
「観光地に近い」「価格も安い」「利回りが高く見える」
いかにも、飛びつき安そうな条件だけで選んだケースでは
実際に運営してみると
- 平日はほぼ稼働しない
- 繁忙期しか動かない
- 連泊が取れない
結果として、「月単位で見るとキャッシュフローがほとんど残らない」
という状態に陥ってしまいました
管理会社選びの失敗
管理会社の選び方で「丸投げできるなら楽だろう」と安易に契約してみると
- 清掃の質が安定しない
- 連絡が遅い
- トラブル対応が後手
という状態が続き、レビューは悪化、稼働も落ちる結果につながります
管理は外注できるが、無関心ではできないという現実を痛感するケースもあります
「想定利回り」と「実際のキャッシュフロー」のズレ
当初のシミュレーションでは、
「月のキャッシュフローは15万円以上は残る」と見込んでいました
しかし実際は
- 閑散期
- 清掃費の増加
- 修繕費
が重なり、実キャッシュフローは一時的に数万円程度まで落ち込む月もあります
想定利回りは、あくまで理想値であって、
現実のキャッシュフローは、もっと泥臭い数字になるということがあり得ます
戸建て民泊は「副業感覚」だと運営が行き詰まる
戸建て民泊は、「時間があるときだけやる副業」では
運営が行き詰まる可能性があります
民泊の場合
- トラブル対応
- レビュー管理
- 価格調整
- 清掃・設備の改善
これらの対応を止めてしまうと、売上も止まってしまいます
逆に言えば、「仕組みとして回る状態」さえ作ってしまえば、
サラリーマンでも十分に両立できる投資になります
第6章:成功する理由は「運営ノウハウ」にある
エリア選定、管理会社、収支予測で失敗したケースでも
運営次第で改善できることがあります
運営の工夫についてみていきましょう
写真・内装・価格調整の改善で起きる変化
運営で改善できる工夫としては「写真・内装・価格」の3点です
・写真はスマホ撮影からプロカメラマンへ依頼して変更
・内装は無難なものから泊まりたくなる空間へ変更
・価格は固定から、曜日・繁忙期別の自動調整
これだけで、予約が変化する効果があります
レビューが収益を左右する
民泊で最も恐ろしい指標は
レビュー評価です
★4.4あたりで予約が鈍りだし
★4.2あたりで稼働が落ちはじめる
★4.0以下になるとかなり選ばれにくくなる
傾向があります
経験談では、
・清掃ミス
・設備トラブルでの連絡ミス
が重なり、★1台の評価を2連続で食らった結果
民泊募集サイトの掲載が停止するペナルティをもらってしまいました
トラブル対応や謝罪など適切な対応を徹底し
なんとか★4.4以上を維持しておりますが、集客は一定数あり
運営を維持出来ております
第7章:ワンルームマンション×戸建て民泊という「物件多様化戦略」
民泊は再現性が低い投資だと思われがちですが
ワンルームマンションと組み合わせることで、現実的な戦略に変わります
ワンルームマンション一本足のリスク
ワンルームマンション投資は
・安定している
・手間がかからない
・計画が立てやすい
という強みがありますが、裏を返すと、
・利回りが低い
・家賃はほぼ上がらない
・金利上昇に弱い
という弱点も抱えています
民泊を組み込むことで起きる3つの変化が起こります
変化 その① キャッシュフローの波を平準化できる
・ワンルームは毎月の固定収入
・民泊は上振れする変動収入
この組み合わせにより
・返済原資はワンルームで確保
・余剰キャッシュフローは民泊で上積み
という、非常にバランスの取れた収益構造が完成します
変化 その② エリア分散が自然にできる
・ワンルームマンションは都市部
・民泊は観光地・地方
といった物件の構成にするだけで
・人口リスク
・災害リスク
・景気変動リスク
が、自然と分散されます
変化 その③ 出口戦略の幅が一気に広がる
戸建て民泊は
・賃貸に戻す
・簡易宿所として売却
・法人へ一括売却
など、出口の選択肢が多いのも強みです
ワンルームマンション一本だけでは作れない、
柔らかい出口を持てるのが、多様化戦略の最大のメリットです
サラリーマンに現実的な組み方
最も再現性が高い投資は次の順番です
- ワンルームで返済の土台を作る
- 都市型又は、地方の小規模民泊を1棟だけ組み込む
- 民泊のキャッシュフローを再投資に回す
この順番を守ることで「一撃狙い」ではなく「積み上げ型」の民泊投資になります
第8章:民泊が向いている人・向いていない人
最後に、ここまでの内容をすべて踏まえた上で
民泊に向いている人・向いていない人を整理しておきましょう
規制があっても勝てる人の共通点
次の特徴に当てはまる人は
民泊でも十分に勝てる可能性があります
・数字を毎月チェックできる
・レビューや改善を面倒がらない
・多少の赤字に耐えられる
・ルールを守る意識が強い
・「投資」ではなく「事業」と割り切れる
民泊は、放置で儲かる投資ではなく「育てて伸ばす事業」という性格の投資です
逆に、民泊に手を出さない方がいい人
一方で、次のタイプはかなり危険です
・手間を一切かけたくない
・赤字が1か月でも出ると眠れない
・本業が極端に忙しい
・「不動産=放置で家賃」と思っている
このタイプの方が民泊に手を出すと
高確率で「精神的にも、金銭的にも削られる投資」になります
「儲かるか」よりも重要な判断基準
民泊は、 「儲かるかどうか」で選ぶ投資ではありません
「自分の生活を壊さずに、続けられるかどうか」で選ぶ投資です
・規制はこれからも続きます
・ルールは今後も変わります
・手間はゼロにはなりません
それでも、仕組みとして回る形を作れた人だけが、民泊を武器にできます
まとめ
民泊は、規制によって「終わった投資」になったわけではありません
むしろ、合法ルールを正しく理解した人だけが残る市場になったと言えます
今でも、
・ルールを守り
・エリアと物件を見極め
・運営を仕組み化できれば
十分に戦えます

サラリーマン投資家にとって民泊の判断基準は、「単純な儲け」より「安全に、止まらず回し続けられるか」の視点で判断すると成功しやすいと言えます

