はじめに

不動産投資に強い税理士って、どうやって選べばいいの?

どこを比較すれば後悔しないのか分からない…
こうした悩みは、不動産投資家のあるあるです
特にサラリーマン投資家の場合、税金や帳簿は本業と並行して行う必要があり
情報不足や判断ミスで思わぬ損をするケースも少なくありません
実際、税理士選びで最も重要なのは節税額ではありません
本当に大事なのは、
- 税務リスクを回避できるか
- 帳簿・経費が適切に整うか
- 税務調査でも堂々と説明できる状態を保てるか
という守りの力です
筆者自身の場合、投資当初は
不動産会社と連携した税理士に全部お願いする形でスタートしました
そこから数年かけて知識を身につけ、
最終的には自分で帳簿・申告ができるスタイルへ移行しています

本記事では、不動産投資に強い税理士を見極める基準、税理士を比較するポイント、税理士が必要な人/自力でもいける人の違いについて解説していきます
第1章:なぜ不動産投資では税理士選びが重要なのか?
不動産投資は、購入して家賃が入れば終わりではありません
実際には
- 減価償却
- 修繕費と資本的支出の区分
- 経費として計上できるもの・できないもの
- 固定資産税
- 融資とのバランス
- 売却時の税金(譲渡所得)
など、税金周りだけでも判断項目が非常に多く複雑です
さらに問題なのは
税理士ごとの知識量・得意領域の差が極端に大きいことがあげられます
実際こんなケースが見られます
- 減価償却の計上方法の間違いで数十万円の損
- 修繕費の処理ミスで税務調査で認められない
- 経費の判断が後になって認められず、延滞税と加算税が数年分まとめて発生する
結果から見た視点で
税理士選びは「節税できるか」ではなく「失敗しないか」 が大事になってきます
特にサラリーマン投資家は本業があるため
帳簿や税務判断を丸投げしがちです

税務面を支えてくれるパートナー の存在が投資の安定を左右します
第2章:不動産投資に強い税理士の 5つの基準
ここからは、「本当に不動産投資に強い税理士」の条件について整理しておきましょう
条件その① 不動産の実務(融資・管理・売却)まで理解しているか
帳簿だけが得意な税理士は、不動産投資には不向きです
不動産の税務は不動産における実務とセットで理解しないと判断を誤る可能性があります
具体的には
- 収益物件の融資の流れ
- 修繕や入退去の実態
- 管理会社の役割
- 売却や法人化の出口戦略
これらの相場や商習慣について理解できている税理士は信頼があると判断できるでしょう
条件その② 減価償却・修繕費・資本的支出の判断基準が明確か
税務調査で最も争点になるのがこの部分です
修繕費にできるのか?
資本的支出なので減価償却で毎年分割の費用になるのか?
こうした判断を根拠をもって説明できるかが非常に重要です
どっちでも良いといった曖昧な回答しか返ってこない税理士は
税務調査で否定される可能性があるため避けた方が賢明です
条件その③ 経費判断の線引きがしっかりしているか

それ経費にできますよ!
と何でもOKな税理士は一見してありがたいと思うかも知れませんが
後で税務調査で否定されるリスクが有ります
具体例では
- 車
- 家事と混在した通信費
- 家族への管理報酬
- 旅行を兼ねた視察費
このような項目で、不動産投資は経費が曖昧になりがちな分野です
守りを固める税理士の方が長期的に見て、結果して特になります
条件その④ 税務調査に強いか(過去の対応実績)
調査は
「戦える税理士」か「すぐ折れる税理士」かで結末が変わります
税務調査において
- 数字で説明できる
- 通達や判例で反論できる
- 調査官との交渉経験がある
こうした要素は、見えないようで非常に重要です

筆者は個人の事業での税務調査経験はありませんが
サラリーマン本業では実務部門者としての対応の経験があり、客観的に説明できる事はとても重要だと感じました
条件その⑤ 料金体系が明確で、追加費用が発生しないか
不動産投資の場合、一般的な相場は「年間10万〜20万円程度」です
格安を売りにしている税理士は
- 確認不足
- 申告ミスする
- 税務調査対応できない
といったリスクがあります
料金とサービス内容が明確であることが最低条件です
第3章:実際に比較すべき5つのポイント
税理士を選ぶときは、資格やなんとなく良さそうな印象だけで判断してはいけません
不動産投資では、税理士によって投資効率も税務リスクも、大きく変わります
ここでは、実際に比較するための5つの実務的なポイントを整理します
ポイント① レスポンス速度と説明のわかりやすさ
税理士の返信が遅いと帳簿の更新も確定申告も後ろ倒しになります
不動産投資では
- 修繕
- 入退去
- 見積
- 家賃の動き
- 確定申告の準備
など、問い合わせが多い分、レスポンスの早さはとても重要です
また、難しい税務用語だけを並べる税理士は避けた方が安全です
素人でも理解できる言葉で説明してくれるか
これは実際にやり取りしないと分からないですが、重要なポイントです
ポイント② 不動産の相談窓口になってくれるか
優秀な税理士は、税金だけでなく
融資・管理・法人化・売却 に関する相談にも乗ってくれます
不動産投資は税務と実務が密接に絡みます
具体的な例では
- 法人化のタイミング
- 大規模修繕をどの期に行うか
- 土地と建物の按分
- 物件購入時の経費判断
税理士が相談窓口になってくれれば、判断ミスを避けることができるでしょう
ポイント③ 節税アピールの強さ
根拠無く、節税できます! 経費にできます!
という税理士ほど、後でリスクがあります
あり得るケースとしては
- 経費の入れすぎ
- 修繕費と設備投資の誤り
- 家族への報酬の入れすぎ
これらが数年後の税務調査で否認されてしまうと
所得税+住民税+延滞税+加算税がまとめて請求されるリスクがあります
節税アピールが強い税理士は、短期のメリットは大きく見えますが
長期のリスクは大きいことを理解しておきましょう
結果から見て大事なのは、節税ではなく安全な節税ラインを守れるかどうかです
ポイント④ 顧問料・確定申告料の総額(年間いくら?)
不動産投資の税理士費用の目安は「年間10万〜20万円」です
安すぎる場合は
- ダブルチェックなし
- 申告後のフォローなし
- 節税だけを推す又はほとんど節税なし
といったリスクが高まりがちです
逆に、20万円以上でも
法人化、複数物件、相談回数が多いなど
料金に対して価値があるケース もあります
大切なのは「何をしてくれる費用なのか」が明確なことです
ポイント⑤ 税務調査の姿勢(戦うタイプか、折れるタイプか)
この視点は見えてこない点ですが
まさに税理士の本業として最も重要な部分です
税務調査官が来た時に
- 主張するべきは主張する
- 引くべきは引く
- 書類で理詰めで説明できる
このタイプの税理士は、不動産投資でも共通して頼りになります
逆に、調査官の言い分にすぐ従ってしまうタイプは、
後で大きな損につながります
税務調査の対応実績を、最初の面談で聞いても問題ありません
第4章:筆者の実体験
筆者が不動産投資をスタートした当初
物件を購入した不動産会社から紹介された税理士に依頼していました
ここではメリットとデメリットについて整理しておきます
メリット
体験として得られたメリットとしては
- 書類や確定申告を丸投げできた
投資初心者にとっては非常に助かるポイントでした - 業界の慣習を理解していて話が早い
減価償却や修繕の考え方など、説明がスムーズでした
といったことがあげられます
不動産投資を始めるとしては成功体験だったと思います
デメリット
やっていて感じたデメリットとしては
- ノウハウが自分に蓄積しない
依頼すれば確定申告は終わりますが、なぜその処理なのかが理解できないところは
フラストレーションが溜まるところでもありました
そこで筆者は、税理士に質問しつつ自分でもインターネットや書籍でひたすら勉強し
少しずつ判断軸を作っていきました
結果:3年目から自力で対応するスタイルへ移行
投資が安定した頃
帳簿も確定申告も自分で対応できるレベルに到達したため
- 自分の投資スタイルに合う
- 税務リスクを最小化できる
- 無駄な顧問料を払わない
という理由で、現在は自力で申告しています
10年近く続けてますが税務調査の対象や問い合わせすら入る事態になったことはありません
筆者が感じた結論
経験にもとづく主観ですが
- 初心者は間違いなく税理士を頼るべき
知識がゼロの状態でスタートすると危険です - 慣れてきたら個人対応も十分可能
不動産投資はそこまで複雑ではないため帳簿処理がパターン化しやすい

自力でやるか税理士に頼むかは
投資家の成長度に合わせて切り替えるのがベストだと実感しています
第5章:税理士選びでやりがちな3つの失敗パターン
税理士選びには典型的な落とし穴があります
ここを理解し、失敗する可能性を少しでも下げておきましょう
失敗パターン① 節税額だけで選ぶ
根拠無く
経費で落とせる、節税できる
と主張してくるポイントだけで選んでしまうと
後で税務調査でのリスクが一気に高まります
節税よりも、帳簿の精度・安全性のほうが数倍大事です
失敗パターン② 顧問料が安いだけで選ぶ
安さには、必ず理由があります
- ミスが多い
- チェックが甘い
- 節税ばかり提案
- 質問すると追加料金
不動産投資の税務は複雑なので
安かろう悪かろうになる可能性があります
失敗パターン③何でも経費OK という税理士を選ぶ
例えば
- 車
- 旅行
- 家族報酬
- プライベート費用
これらを何でも経費に入れてくれる税理士は、短期的には気持ちいいかもしれません
後に税務調査でまとめて否認されてしまい
数年分の税金+加算税を一気に払う結末になりがちです
不動産投資は長期戦
守りを固める税理士の方が自分の資産を守ってくれます
第6章:不動産投資家が税理士に依頼すべきタイミング
不動産投資は「毎年の帳簿はシンプルでも、特定の年だけ一気に複雑化する」という特徴があります
そのため、必要なタイミングでスポット的に税理士へ依頼するという考え方が最も合理的です
依頼すべき主なタイミングは次のとおりです
初年度(物件購入時)
物件購入の年は
取得費の扱い、減価償却、仲介手数料、ローン諸費用の仕分け
など、不動産特有の処理が一気に押し寄せます
この年に帳簿を間違えると
5年〜10年分ずっと誤ったまま運用されるため
初年度は税理士に依頼する価値が非常に高いです
法人化を検討している段階
法人化はメリット・デメリットが表裏一体です
- 節税になる人
- 逆に税金が増える人
- 銀行融資の評価が下がる人
が混在します
その判断材料を揃えるためにも、
法人化を考えたタイミングで税理士へ相談するのが最適です
大規模修繕が発生した年
100万円〜300万円規模の修繕は
「資本的支出か?修繕費か?」
という判断が極めて重要です
処理を誤れば
- 数十万円単位の税額差
- 税務調査リスクの上昇
につながります
融資を拡大するタイミング
銀行は
「帳簿=投資家の実力」
と見ています
帳簿に弱点があると融資枠が小さくなり、機会損失へ直結
融資を増やしたい年は税理士のサポートがあれば安全に進められます
⑤ 税務調査が入りそう、または備えたい時
税務調査は
「日頃の帳簿の積み重ね」と
「税理士の対応力」
で結果が変わります
調査の連絡が来てから慌てるより
備えとして税理士に相談するのがベストです
結論として、
物件購入の初年度+節目の年だけ税理士へ依頼する
というのが最も合理的な運用スタイルです
第7章:税理士に頼るべき人・頼らなくてもいい人
不動産投資家と税理士の相性は
投資スタイルとマメさで大きく分かれます
頼るべき人
頼るべきな人の具体例は
- 初心者
最初の1〜2年は税理士のサポートが必須です
間違った知識を身につけると後が大変です - 複数棟・複数法人を運営する人
規模が増えるほど帳簿が複雑になります
減価償却、共通経費の按分、修繕費の基準など専門知識が必要になってきます - 帳簿が苦手な人
帳簿がズレると融資にも影響します
苦手意識があるなら税理士に委託した方が安全です - 税務調査が怖い人
調査慣れした税理士がついていれば、精神的な安心が段違いです
保険のための必要な支出と割り切る考え方もあります
自分で対応できる人
一方で自分で対応して問題ない人の具体例は
- 単棟・シンプルな収支
物件1棟で入出金が少ないなら、帳簿は複雑になりにくいです - 節税よりリスク回避重視
攻めの節税をしないなら、会計ソフトでも十分対応可能です - 会計ソフトで帳簿を作れる
月次で入力できるなら、確定申告も難しくありません - 税務の基礎知識がある
減価償却・経費計上・按分が理解できていれば自力運用も可能です
まとめ
不動産投資では、帳簿管理・経費処理・減価償却などが複雑であり
税理士の質が投資の成否を左右します
税理士に依頼すべき主なタイミングは、初年度、法人化を検討する時期、大規模修繕の実施時、融資の拡大時、そして税務調査などの節目です
税理士は節税の魔法使いではなく
「税務リスクを最小化し、安心して運用するためのパートナー」です
頼るべき時は頼る、できることは自分でやるという柔軟なスタンスが
最もコストパフォーマンスの高い選択と言えるでしょう

必要な時だけプロを活用しながら
長期的に安定した不動産運営を目指しましょう

