はじめに:なぜ「資産管理表」が必要なのか
不動産投資では、毎月の家賃収入や経費に目がいきがちですが、見るべきものの一つとして「資産全体のバランス」があります
たとえば「口座の残高が増えた」ように見えても、実はローン残高が減っていなかったり、建物の価値が下がっていたりすることがあります、現金の増減だけでは投資全体の健全性は分からないのです
投資の健康状態を確認するのが、資産管理表です
資産管理表は「投資家の健康診断書」とも言え、現在の資産・負債・純資産の全体像を1枚で把握できます
不動産投資の財務管理には、2つの視点があります
- 「資産管理表」:現時点の資産・負債の状態(=静的データ)
- 「キャッシュフロー計算書」:毎月の収支や動き(=動的データ)

本記事では、「資産管理表」の作成により保有資産・ローン残高・評価額を整理して、ネット資産(純資産)を算出する方法を解説します
ステップ①:保有資産を一覧化する(静的データの整理)
最初のステップは、自分が何をどれだけ持っているのかを「見える化」することです
不動産投資では、物件だけでなく、現金・預金・その他の資産(例:敷金、積立金など)も含めて一覧化することが重要です
資産管理表の基本項目
- 物件名/所在地
- 取得価格(購入時の価格)
- 評価額(現在の市場価格や査定額)
- 家賃収入(月額または年間)
- 管理会社(または自己管理の場合は「自主管理」と記載)
この一覧をExcelまたはGoogleスプレッドシートで作るだけでも、 自分の「資産全体の地図」ができます
特に、複数物件を保有している場合は、一覧化することで
- どの物件が高利回りなのか
- どの資産がキャッシュを生んでいるのか
- どの地域・タイプに偏っているのか
といったポートフォリオ分析の第一歩にもなります
目標は、すべての資産を1ページで俯瞰できる表を作ることです

「現金・不動産・その他資産」が一覧で見えることで、 投資全体のバランスが一目で分かるようになります
ステップ②:ローン残高・金利・返済期間を整理する
資産を把握したら、次は負債(ローン)の管理です
不動産投資はレバレッジを活かすビジネスであるため、「どのような条件で借りているか」を正確に把握することが、リスク管理の出発点になります
負債管理の基本項目
- 金融機関名
- 借入残高(現時点のローン残高)
- 金利(固定・変動の区別も)
- 返済期間(残り年数)
- 毎月返済額(元利合計)
これらを資産と同じ表にまとめておくことで、「物件」と「ローン」を対応付けて管理できるようになります
たとえば、
- 金利が高いローンの借換え候補を検討する
- 繰上返済によって利息負担を軽減する
- 返済期間が短すぎてキャッシュフローを圧迫していないか確認する
といった経営判断の材料になります

金利上昇リスクに備えて、自分の借入ポートフォリオ(固定と変動の割合、返済残年数など)を 定期的にチェックする仕組みをつくっておくことが大切です
ステップ③:資産評価額とネット資産(純資産)を算出する
保有資産とローン残高を整理したら、いよいよネット資産(純資産)を算出します
ネット資産は不動産投資における「実際に残るお金」「本当の財務力」を示す重要な指標です
計算式は非常にシンプルです
ネット資産 = 総資産 − 総負債
たとえば、
- 総資産(物件の時価評価額+現金・預金など)= 8,000万円
- 総負債(ローン残高など)= 6,000万円
であれば、ネット資産は 2,000万円 になります
ネット資産が示す数値があなたの不動産投資における「実質的な財産」です
毎年この数字を更新していくと、
- 借入返済で純資産がどれだけ増えたか
- 減価償却の進行とともに評価額がどう変化したか
- 新規投資によってリスクが増えたか減ったか
が一目で分かるようになるでしょう
ネット資産が示す3つの意味
- 現在の投資規模
どれだけの資産を運用しているかを把握できます - 安全余力
ローン返済や金利上昇にどれだけ耐えられるかを確認できます - 次の投資余力
純資産が積み上がるほど、次の物件購入に向けて銀行評価も有利になるでしょう
特に、ネット資産が 2,000万円前後を超えると、金融機関の評価が上がるといわれており、次の物件への融資戦略を立てやすくなると思います
管理表のフォーマット例
資産管理表は、難しく考える必要はありません
ExcelやGoogleスプレッドシートで十分で、一例を示します
| 資産区分 | 名称 | 取得価格 | 評価額 | 借入残高 | 金利 | 返済年数 | 年収益 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 区分マンション | 新宿区〇〇マンション | 3,000 万円 | 3,200 万円 | 1,500 万円 | 1.2% | 残25年 | 120万円 | 銀行A |
| 現金・ 預金 | 普通預金口座 | – | 500万円 | – | – | – | – | – |
| 合計 | 3,000 万円 | 3,700 万円 | 1,500 万円 | 120万円 |
この表をもとに、
総資産(3,700万円) − 総負債(1,500万円)= ネット資産 2,200万円
といった形で、あなたの投資ポジションを「見える化」できるでしょう
ポイントは、資産と負債を同じ表で管理することです
別々に管理してしまうと、「どの借入がどの物件に対応しているか」が見えにくくなり、リスク分析や戦略判断が難しくなります

定期的に「評価額」を見直すことで、 含み益や売却時の想定キャッシュも把握でき、出口戦略を立てやすくなります
まとめ:資産管理表は「静的管理」→次は「動的管理」へ
資産管理表の目的は、 「現状の資産と負債のバランス」を明確にすることです
不動産投資の「静的管理(ストック管理)」にあたります

静的管理により、「保有資産・負債・純資産」「財務の健全性」「投資余力やリスク許容度の判断」というメリットが得られると思います

