はじめに:なぜリタイア前の「数字設計」が重要なのか
サラリーマンの場合、投資拡大の期限は決まっている職業です
理由としては
- 年齢が上がれば上がるほど返済期間が短縮され、融資通過率が下がる
- 勤続年数や職歴の変化は、金融機関の融資姿勢にダイレクトに影響する
- 会社の業績や役職によって、年収が変わる
つまり、サラリーマンは「時間に制約のある投資家」です
特に40代後半〜50代に差し掛かると、融資条件が厳しくなり、投資拡大の天井が見えてくる段階に入ります

本記事では、投資での判断で目安になる数字であり、限られた時間の中で達成しておくべき数字について解説します
第1章 なぜ「3つの数字」が投資の成否を決めるのか
サラリーマン投資の最大リスクは「融資枠の消滅」
不動産投資の成否を分けるのは利回りではなく、融資が続くかどうかです
その融資枠を押し下げる要因は主に3つあげられます
年齢の壁(55歳〜が境界線)
金融機関は返済期間を「完済時年齢」で判断します
55歳を超えると返済期間が短縮し、同じ物件でも借りられる金額が大幅に減るようになります
勤続の壁(転職が融資に影響する)
転職は勤続リセットになるケースが多く、
特に1〜3年は評価が下がるため、中級者が投資の勢いを止める要因になります
年収の壁(企業評価の変動)
企業の業績・役職・評価によって年収が変わると、
即座に融資可能額が変化します
サラリーマンは「環境要因で属性が上下しやすい」職業です
初級者と中級者で必要な数字が変わる理由
投資初期(初級者)は、属性がすべてです
年収・勤続・職種といった外部評価で融資が決まります
一方、投資中級者は次のステージに進みます
- 資産背景
- 返済計画の整合性
- 売却プラン
- 保有している物件の収益性
「単なる属性」ではなく、経営者としての意思決定能力が見られる段階です
投資の入口→中盤→出口で達成すべき数字を整理し、
一貫した戦略を持つことが欠かせません
「数字で管理」すると投資判断がブレなくなる
成功者に共通するのは、感情ではなく数字で意思決定することです
- 「買うべきか迷う」
- 「タイミングがわからない」
- 「このまま物件を増やしていいか不安」
こうした迷いのほとんどは、数字で定義さえすれば消えます
いつまでに、何を、どれくらい増やすかを数値化すると
戦略が自然と決まり、迷いが消えます
第2章 サラリーマンがリタイア前に達成すべき3つの数字
ここでは、老後・転機・収入不安に強い土台を作るための
3つの重要数字な目標値(KPI)を整理していきます
KPIその1 年間キャッシュフローの目標値(最低いくら必要か)
年間のキャッシュフローの目的は老後の固定費をカバーすることです
老後の生活費の中で最も重くなるのは「固定費(住居・通信・保険・生活基盤)」です
その固定費を不動産収入で安定的にカバーするための目指す値の目安として
3段階があります
- 年間 60万(毎月5万円)
- 年間 120万(毎月10万円)
- 年間 180万(毎月15万円)
60万円は「最低ライン」
120万円を超えると心理的な安定が大きく増します

会社が不安定になったり、家庭の事情で働き方を変える必要が出た場面での生命線になります
KPIその2 純資産(資産 − 負債)の目標値
サラリーマン投資家の実力は
保有物件数でも利回りでもなく、純資産の厚みで決まります
一般的な目安として
- 1,000万円:投資基盤のスタートライン
- 2,000万円:金融機関の評価が安定する
- 3,000万円:融資枠が減りにくくなる中級者の壁を突破
純資産が増えるほど、「この人は経営者として計画的に投資している」と判断され
銀行の印象が大きく変わってきます
KPIその3 返済比率(RCR:年間返済額 ÷ 年収)の目標値
返済比率(RCR)は銀行が重視する指標です
返済比率(RCR)の目安は以下の通り
- 初級者:20〜25%
まだ余力があり、融資の伸びしろが大きい - 中級者:30%以内(安定ライン)
ここを超えると金融機関は慎重になり、伸び悩みが発生する
投資経験者ほど「ギリギリのレバレッジは攻めない」傾向があります
ギリギリを攻めない理由として
1棟の失敗が返済比率を悪化させ、融資枠を数年単位でふさいでしまうからです
第3章 現状の棚卸しとリタイア時期別のKPI設定
3つの数字を作るためには、まず自分の現在地を把握する必要があります
今の自分の属性と投資状況を棚卸しする
以下の項目を一覧化し、可視化してください
- 年齢
- 勤続年数
- 年収
- 手持ち資金
- 信用情報
- 保有物件のキャッシュフロー
- 現在の返済比率(RCR)
- 各金融機関の融資姿勢
ポイントは、今の自分はどれくらいの融資枠が残っているのか?
を把握することです
リタイア時期別にKPIを設定する
サラリーマンの融資戦略は、
「いつまで拡大するか」でまったく変わります
戦略その1 45歳まで投資拡大する
早期に純資産とキャッシュフローの土台を固める戦略です
リスクは最低限で、堅実な運用を目指します
戦略その2 50歳まで投資拡大する
現実的でバランスをとった戦略です
中級者が拡大できる時期を、積極的に活用することを目指します
戦略その3 55歳まで投資拡大する
サラリーマンが年齢を重ねていくと、融資は通りにくなりますが、戦略次第でまだ可能性があります
返済年数をどう確保するかが鍵になってきます
どこをゴールに設定するかで、
「どの物件を買うべきか」「どの金融機関を使うか」が変わってくるでしょう
第4章 3つの数字を作るためのロードマップ
リタイア前に達成すべき「年間キャッシュフロー」「純資産」「返済比率(RCR)」
という3つの数字は、
闇雲に物件を買えば達成できるものではありません
投資ステージに合わせた物件タイプの使い分けと返済比率のコントロールが不可欠です
中級者以降のサラリーマン投資家が実際に数字を積み上げていくため
高いロードマップの例について見ていきましょう
キャッシュフロー型と純資産型の物件を使い分ける戦略
サラリーマンとして時間が限られる中で、効率的に3つの数字を伸ばすには
物件のタイプを戦略的に選ぶことが重要です
投資家が迷いがちなポイントですが、物件の役割を確認し、戦略について見ていきましょう
キャッシュフロー型:築古戸建・地方高利回り
築年数が古い戸建や、地方の高利回りの物件の場合
目的:年間キャッシュフローの底上げ
メリット:利回りが高く、収支が安定してプラスになりやすい
デメリット:出口戦略(売却)が弱い、融資が伸びにくい
といった特徴があります
キャッシュフローを先に作らないと、投資初期〜中級は資金繰りに不安が残り
追加融資も受けにくくなります
1〜2件はキャッシュフロー型で月の黒字を確保するために活用します
純資産型:都心ワンルームマンション・中古マンション
都心のワンルームマンションの場合
- 目的:純資産の積み上げと融資の伸びやすさ
- メリット:評価がつきやすく、融資枠が伸びる/売却がしやすい
- デメリット:キャッシュフローは薄い
中級者が拡大時にぶつかる壁が「融資が止まる問題」
これを突破するために、金融機関評価の強い都心区分マンションや
収益性と評価のバランスが良い中古マンションを組み込む必要があります
ハイブリッド型に切り替えるタイミングが重要
戦略的な物件の使い分けは、投資のステージに応じて変化します
初級:キャッシュフロー重視
中級:純資産を厚くして融資を伸ばす
成熟:キャッシュフローと資産のバランスを整えて返済比率(RCR)を調整
この切り替えの判断が遅れると、
- キャッシュフローは黒字だけど融資が止まる
- 評価は高いけど手元資金がつきてしまう
という事態に陥ります
投資中級者が失敗しないためにはどうすべきか?
それは、先に3つの数字のどれを伸ばすべきか定義し、その目的に応じて物件タイプを選ぶことです
投資中級者が失敗しない鉄則です
返済比率を安定させるためのポートフォリオ管理
3つの数字の中でも、最もコントロールが難しいのが
返済比率(RCR)です
RCRが悪化すると、投資活動全体が止まります
逆に、適正ラインを保てば、年収が変わらなくても融資が伸び続けます
ここでは、RCRを安定させる実践的な管理方法をまとめます
無理なレバレッジを避ける
「融資が通るなら買ってしまえ」は初期のよくある失敗です
投資中級者は、物件単体ではなく
- 返済比率が全体でどう変わるか
- 次の融資に影響するか
- 年齢の影響を受けないか
を必ずチェックする必要があります
売却してRCRを戻す選択肢を常に持つ
投資経験者になるほど、売却して返済比率を戻す利益確定より
「融資枠の復活を優先する」という判断を優先します
売却は「負け」ではなく
ポートフォリオの健康状態を回復させるための治療です
資産管理は足し算と引き算
多くの投資家は「買い足し」ばかりに意識が向きますが、
中級者に必要なのは
- 足し算:キャッシュフロー型で黒字増加
- 足し算:純資産型で評価を積み増す
- 引き算:悪化したRCRを売却で改善
- 引き算:修繕費の負担を抑えるために物件入れ替え
という足し算と引き算の両立です

戦略的な考え方とタイミングで物件の増減を実行できる投資家は、リタイア前に「3つの数字」を安定的に達成できるでしょう
まとめ:3つの数字を明確化して、リタイア後の自由な未来を掴む
サラリーマンの不動産投資の成功は、「どれだけ買うか」ではなく
「どの数字を積み上げるか」で決まります
自由な未来を計画的に手に入れるために管理すべき軸は
- 年間キャッシュフロー: 生活の安定
- 純資産: 融資の継続性
- 返済比率: ポートフォリオの健康
です
3つの軸を明確に定義し、目標水準を積み上げることが、融資環境の変化に左右されない計画的なリタイアを実現します

「いつまでに、どの数字を、どの水準まで積み上げるのか」を明確に設定し、投資戦略を今日から変えましょう

