はじめに
不動産投資の話題では、年収700万円前後が
一つの目安として語られることが少なくありません
この水準は、いわゆる富裕層や高所得者には届かない一方で
金融機関の融資判断において無視できない位置にあるためです
一方、多くの人は
- やるべきか
- やらない方が安全か
という二択の間で立ち止まり、結論を出せないまま時間だけが過ぎていきます
しかし問題の本質は、その是非以前に
判断に必要な材料が手元に揃っていないことにあります

本記事では、年収700万円という条件において、判断できる状態に入る価値があるのかその基準を構造と数字の観点から解説します
第1章 年収700万円は不動産投資を考えてよい属性なのか
融資判断から見た現実的なスタートライン
不動産投資の可否は、本人の意欲や勉強量よりも
金融機関が融資対象として見るかどうかでほぼ決まります
この前提を外した議論は、現実的な判断材料になりません
年収700万円前後の会社員で、勤続年数が一定以上あり
信用情報に大きな問題がなければ
- 属性評価
- 返済比率
- 年収倍率
といった観点で、金融機関の検討テーブルに乗る水準に
達しているケースが多く見られます
ここで誤解してはいけない点があります
これは必ず借りられるという意味ではありません
あくまで、門前払いされにくい属性かどうかという基準において
融資の審査が通りやすい位置にいるという話です
なぜ今検討してもよいと言えるのか
年収700万円という水準は
不動産投資を始める前提に立つための条件ではありません
選択肢が存在するかどうかを確認できるラインに到達している
という意味合いです
ここで重要なのは、不動産投資を始めると決める必要はないという点です
- 勤続年数
- 雇用形態
- 既存の借入状況
これらを整理するだけで、自分がどの程度の融資余地を持っているかは
ある程度見えてきます
この確認行為そのものが、リスクになることはありません
むしろ、何も確認しないまま自分には無理だろう
と結論づける方が、判断としては曖昧で不安定です
第2章 やるかどうかを決める前に揃えるべき判断材料
不動産投資は一枚岩ではないという前提
不動産投資と一口に言っても
ワンルームマンション、戸建て、小規模アパートでは
前提条件が大きく異なります
必要な自己資金、融資の付き方、空室リスク、管理負荷は同列ではありません
それにもかかわらず、アパート経営の成功例や失敗例だけを見て
不動産投資全体を判断しようとするケースが多く見られます
この見方では、自分の条件との相性が検証されないまま結論が出てしまいます
年収700万円という条件が、どの投資タイプと相性が良いかは
実際に数字を当てはめてみなければ分かりません
この検証を省いたまま是非を決めること自体が、判断軸として不十分です
年収700万円で現実的に比較すべきポイント
判断材料を揃える際に重要なのは
知識量を増やすことではありません
自分の条件を数値と制約として整理することです
そのために最低限確認すべき項目があります
まず一つ目は、自己資金と借入余力です
現在の貯蓄額や既存ローンを踏まえ、どの程度の借入が現実的かを把握します
これにより、選べる投資手法の範囲は自然に絞られていきます
二つ目は、管理や意思決定への関与度です
平日にどこまで時間を割けるのか、突発対応を許容できるのか
といった生活面の制約を明確にします
これは収益性ではなく、継続可能性を判断するための重要な基準です
三つ目は、想定外の支出に対する耐性です
空室や修繕が発生した場合に、資金面だけでなく精神面でも耐えられるかを事前に考えます
ここを曖昧にしたまま始めると
問題になるのは投資そのものではなく、日常的なストレスです
これらを整理した時点で
不動産投資をやるかどうかの答えが出ていなくても問題ありません
少なくとも、判断できる状態に一歩近づいたと言えます
ここまで進めた上で、やらないと結論づけても
その判断は決して遅くありません
第3章 行動しないまま判断を先送りするリスク
何もせず様子を見る選択の短期的な安心
不動産投資について考えたとき
「今はまだ早い」「もう少し情報が出そろってから判断しよう」
と結論を保留する選択は、心理的に非常に楽です
なぜなら、この選択をしても直近で生活が困ることはほぼ起きないからです
・給与はこれまで通り入る
・住居や支出構造も変わらない
・失敗するリスクを負わずに済む
このように、短期的には安定が維持されます
そのため多くの人が、「判断しない」という選択を無意識に選びます
さらに、不動産投資は
- 融資
- 管理
- 法律や税務
と考えることが多く、検討コストが高そうに見えます
結果として「もう少し余裕ができてから」と先送りされやすい構造があります
ここで重要なのは、多くの人が止まるポイントが
合理的判断の終点ではないという点です
中長期で見たときに起きうる不利
問題は、何も行動しない選択が中長期的には中立ではないことです
まず、年齢と融資条件の関係です
不動産投資の可否は、個人の意欲よりも金融機関の判断に大きく左右されます
一般的に
- 年齢が上がるほど
- 完済時年齢の制約が厳しくなり
- 返済期間が短くなりやすい
同じ年収700万円でも、35歳と45歳では借入条件が変わる可能性があります
これは努力では覆せない構造的な差です
次に、市場環境の変化です
金利、物件価格、金融機関の姿勢は固定ではありません
- 金利が上がった後
- 融資基準が厳しくなった後
- 物件価格が上昇した後
このタイミングで検討を始めても、
「数年前なら検討できた条件」が失われている可能性があります
つまり、判断を先送りすること自体が
見えにくいコストを伴う行為だと言えます
第4章 失敗しやすい始め方に共通する判断の欠落
不動産投資が失敗に見える典型パターン
不動産投資が「危ない」「失敗しやすい」と言われる背景には
いくつかの典型的な始め方があります
一つ目は、物件ありきで話が進むケースです
営業から具体的な物件を提示され、数字の意味を十分に理解しないまま
比較検討をせずに契約する
この場合、判断の起点が「自分の条件」ではなく
「目の前の物件」になっています
二つ目は、節税や利回りだけを理由にする判断です
節税になると言われた、表面利回りが高く見えた
これらは判断材料の一部に過ぎません
それだけで意思決定すると、リスクや管理負荷が見落とされやすくなります
問題は投資対象ではなくプロセス
ここで整理すべきなのは
失敗の原因は投資対象そのものではないという点です
多くの場合、問題は、知識がゼロだったことではなく
判断工程を省略したことにあります
本来踏むべき順序は
- 自分の年収、自己資金、借入余力を把握する
- 複数の投資手法を並べて比較する
- その上で、物件を見る
しかし、順序が逆転すると
「なぜその投資を選んだのか」を説明できないまま進んでしまいます
結果として
- 想定外の負担
- 期待とのギャップ
が生じ、「不動産投資は失敗だった」という評価に変わります
これは、不動産投資全体の問題ではなく、判断プロセスを省略した結果です
第5章 年収700万円の人が取るべき現実的な結論
今すぐ購入すべきではない理由
ここまでの整理を踏まえると、年収700万円の人が今すぐ取るべき結論は明確です
購入を急ぐ必要はありません
判断材料が揃っていない段階での決断は
- リスクの過小評価
- 他の選択肢の見落とし
につながります
また、「検討を始めること」と「実行すること」は別です
この二つを混同すると
「考え始めた以上、やらなければならない」
という誤ったプレッシャーが生まれます
検討とは、やらないという結論に至るための行為でもあります
判断できる状態にないままの決断こそが、最も危うい選択です
今すぐ始めるべき行動の範囲
一方で、何もしないまま時間を過ごすのも合理的ではありません
今すぐ始めるべき行動は、購入や契約ではなく
以下の範囲に限定されます
まず、不動産投資の種類を複数比較することです
- 区分マンション
- 戸建て
- 小規模アパート
それぞれについて
- 必要資金
- リスク
- 手間
を並べるだけでも、向き不向きは見えてきます
次に、年収700万円前提での簡易的な融資条件を確認することです
- 借入可能額の目安
- 返済比率の考え方
を把握するだけで、「検討資格があるかどうか」は判断できます
最後に、自分が許容できるリスクと手間を言語化することです
- どこまで自己資金を使えるか
- 管理にどれだけ関与できるか
- 空室や価格変動をどう捉えるか
これらを整理すれば、やるかやらないかの判断は自然に近づきます
ここまで行動した上で「やらない」と決めても遅くありません
重要なのは、判断できる状態に到達する行動を取ることです
それが、年収700万円という条件に立つ人にとって
最も現実的で合理的な結論です
まとめ
これまで整理してきた内容を踏まえると
年収700万円という条件は
不動産投資を「夢物語として眺める段階」をすでに超えています
金融機関の融資判断という構造に照らせば
年収700万円前後の会社員は、不動産投資を検討対象として
扱ってよい資格がある水準に到達しています
ただし、それは「今すぐやるべき」という意味ではありません
購入や契約を急ぐ合理性はなく
やるかどうかを今この瞬間に決める必要もありません
ここで明確に線を引くべきなのは、「やってはいけない行動」です
それは、判断材料が揃わないまま
- 怖いからやらない
- よく分からないから無理
と結論を出してしまうことです
これは慎重ではなく、単なる判断放棄に近い状態です
一方で、不動産投資が有力な選択肢になり得る人も明確です
- 不動産投資の種類を複数比較し
- 年収700万円前提での簡易的な融資条件を確認し
- 自分が許容できるリスクと手間を整理できる人
この段階まで進められる人にとって
不動産投資は「検討する価値のある選択肢」になります
やるかやらないかは、その後に決めれば十分です
逆に、何も調べずに
- 不動産投資は危ない
- 自分には無理
と否定している人は、まだ判断の土俵に立っていません
それは適切な結論ではなく、情報不足による保留に過ぎません
年収700万円の人にとっての分岐点は、
「不動産投資をやるかどうか」ではありません
判断できる状態になるための行動を取るかどうかです

情報収集と簡易シミュレーションまで進めた上で、やらないと決めるのは合理的です
が、何も調べないまま否定することだけは、最も避けるべき選択だと言えます


