はじめに
サラリーマンとして不動産投資を続けていくと、ローン返済は資産形成の中心課題になってきます
そこで「繰上返済」を行って早く返済を終わらせるか、それとも借入期間をフルに使って「長期保有」して家賃収入と資産価値を伸ばすか、どちらが得かを数字で比較してみます
以下は仮定の条件を使ったシミュレーションです。各セクションで論拠となる公的な資料や銀行/金融情報も紹介しますので、「自分にとってどうか」を判断する材料として役立ててください
比較に使う仮定条件
| 項目 | 仮定内容 |
|---|---|
| 借入金額 | 3,000万円 |
| 金利 | 1.5%(固定と仮定) |
| 契約期間 | 35年(元利均等返済) |
| 繰上返済実施のタイミング | 返済開始後10年目に一度100万円を繰上返済するケース |
| 比較するケース | A:繰上返済なし(長期保有) B:繰上返済あり(返済期間短縮型) C:繰上返済あり(毎月返済額軽減型) |

これらを基に、合計利息・返済期間・月次キャッシュフローへの影響を比較します
参考にしている情報
繰上返済の可否を判断する際、金利・残り返済期間・残高の3つが重要要素として挙げられ、大きい場合繰上返済効果が高い
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繰上返済利息軽減額の条件によっては大きな利息削減になる
住宅ローン繰上げ返済と資産運用、どちらがお得? | 一般財団法人 住宅金融普及協会
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「期間短縮型」の繰上返済は利息総額の軽減に強く、「返済額軽減型」は月々返済の負担を軽くするが総利息削減効果はやや小さい

第39回 「住宅ローン繰上返済vs資産形成」論争を考える | ミライ研のライフプラン羅針盤 | 三井住友信託銀行
第39回 「住宅ローン繰上返済vs資産形成」論争を考える 三井住友信託銀行が資産運用に役立つマーケットコラムをお届けします。各執筆者がそれぞれの視点から経済に関する情報を週替わりで発信します。
比較シミュレーション結果
A・B・Cの3シナリオについて、それぞれの概算してみた結果です
| シナリオ | 返済期間 | 総利息支払額 | 月次返済額 |
|---|---|---|---|
| A. 繰上返済なし(長期保有) | 35年 | 約 8,100,000円 | 約 11.9万円 |
| B. 繰上返済あり返済期間短縮型 10年後に100万円繰上 | 33年2か月 1年10か月短縮 | 約 7,500,000円 利息差 約60万円 | 毎月返済額変化なし |
| C. 繰上返済あり毎月返済額軽減型 10年後に100万円繰上 | 35年(期間維持) | 約 7,600,000円 利息差 約50万円 | 月次返済額 約 11.2万円に減少 |

今回は、手数料や税金・運営コスト等は含めずに計算しました
- Bの返済期間短縮型は、繰上返済をしたことで利息総額を約60万円削減でき、完済年数もおよそ1年10か月短くなります
- Cの返済額軽減型は期間は変わらないものの、毎月の支払が約7,000円ほど軽くなり、キャッシュフローに余裕が生まれます
- 長期保有(A)では支払い期間は最長になるため、利息コストが最大になりました
メリット・デメリットを比較
| 観点 | 繰上返済型(特に期間短縮型) | 長期保有(繰上返済なし) |
|---|---|---|
| 総利息軽減 | ◯ 高い(上記シミュレーションで約60万円ほど) | — 支払利息は最大になる |
| 返済期間 | ◯ 短縮される | — フル期間利用で返済期間が長い |
| 月次返済の安定性 | — 最初の10年は通常通り高負荷 | ◯ 安定して支払える |
| キャッシュフロー余裕 | — 繰上返済すると手元資金が減少する | ◯ 手元資金を他に回せる |
| 節税効果(利息・減価償却) | — 繰上返済で利息部分が減るため経費扱いが減る | ◯ 長期間節税メリットが続く可能性あり |
| リスク耐性(空室・金利上昇) | ◯ 借入期間が短いのでリスクの累積が少ない | — 長期間にわたり金利変動や空室リスクにさらされる |
いつ繰上返済をすべきか?判断基準

「繰上返済が有効となる条件」にはそれぞれ目安があるとされています
- 借入残期間が長い
→ 効果が大きい。返済を開始してから多く年数が経過していないほど繰上返済のメリットが高い
- 金利が比較的高い
→利息軽減の余地が大きい
- 手元流動資金に余裕がある
→ 繰上返済による流動性低下を許容できることが重要
- 将来追加投資の予定がないか少ない
→ 資金を別用途に使いたいなら繰上返済より貯蓄や他の投資を優先する戦略も考えられる

不動産投資での繰り上げ返済はオススメできない?その理由を徹底解説
あなたは借入金を早く完済したいと思い、繰り上げ返済に乗り気になっているかもしれません。しかし、追加で物件を購入するなら繰り上げ返済よりも自己資金の用意をするほうが効果的です。また、低金利・低利回りの物件だと繰り上げ返済の効果が低いです。
注意すべきポイント
- 金融機関の手数料
繰上返済手数料がかかるケースがあります。銀行やローン商品によって異なるので確認が必要です - 税制・節税との兼ね合い
利息が減れば経費計上分が減るため、減価償却・損益通算での税軽減が弱まる可能性があります - キャッシュの流動性
繰上返済に資金を使いすぎて、急な修繕や空室・病気などの予期せぬ支出に備える余力を失うと本末転倒です - 金利タイプ(固定金利 or 変動金利)
変動金利であれば将来の金利上昇リスクに備えて繰上返済のタイミング設計が重要になってきます
結論:どちらが「得」か?

仮定シナリオにおいては、繰上返済(期間短縮型)が総利息を減らし、完済年数を早める点で明らかにメリットがありました

ただし、月次キャッシュフローの余裕や将来の資金需要を見越すなら、返済額軽減型または長期保有を選ぶ戦略も合理的です
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